在宅医療最前線2/23号看護師を守れ

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2021-02-23

 最後までクレーマーから脱出できない家族は攻撃性がより強くなっていきます。毎週のように攻撃される看護師さんはそのクレーマーから逃げたいのです。攻撃をされるとミスが出たりもします。

 本当にミスをしてしまった時の攻撃は普段よりももっと凄い攻撃になります。例えばお薬を飲ませ忘れてしまったとします。お薬の飲ませ忘れは確かに問題です。クレーマーの家族はこの1回のミスをずっと何か月も叱咤します。看護師が烈火の如く怒る家族の攻撃から早く逃れたいと思うのは当然の心理です。

 看護師さんはその場から逃れたいと思う一心でウソをついてしまいました。「薬局からお薬が届かなかった」とか「初めからお薬が足りなかった」とか「医療機関が処方し忘れた」とか。ウソはついてはいけないのですがその場から逃げたくて仕方ないのです。

 この家族の怒りの矛先はこの看護師から薬局や医療機関へと変わります。医療機関に電話がかかると医師に怒りのマシンガントークが始まります。医師は当然クレームを聞いた後、カルテを見て、処方箋のコピーをチェックします。チェックすれば看護師さんがウソを言った、とすぐに解ってしまいます。

 薬局でも同様で解ってしまうのです。医師や薬局も「老人ホームの看護師がウソをついた」と施設長などにクレームを入れます。こうなってしまいますと、看護師は八方塞がりです。その結果、貴重な看護師さんがその老人ホームから退職してしまうのです。

 本当の原因はクレーマーさんとの関係なのです。施設側でこの看護師さんを守ってあげる仕組みが必要なのです。医療機関や薬局でも恐らく原因はこのクレーマーの家族にある事は解っていたはずです。医療機関や薬局はこの看護師のクレームを施設長と話すのではなく、このクレーマーの事を連携してどう対応していくかを話し合わなければいけません。それぞれで対策を考え、この看護師さんを守ってあげる事が大切なのです。



【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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