在宅医療最前線10/26号在宅医療における妄想(病院が在宅医療を始められない理由)

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2021-10-26

 妄想とは誤った確信のことである。当事者はその考えが妄想であるとは認識できない場合が多い。根拠があいまいであるにも関わらず異常に確信が強い事である。内容が非現実的であるとされています。

 在宅医療のイメージは末期がんとALS(筋萎縮性側索硬化症)らしい
そう思っている医療従事者はとても多い。テレビのニュースで放送されるのは毎回、末期がんとALSである。24時間の体制や医師の確保、看護師の確保など出来ない理由が沢山並びます。もちろんそういう患者もいますが体制が整のわないのであれば無理して診なければならない理由はありません。問い合わせが来た時点でお断りすることもできるのです。

 それでは末期がんやALSの患者さんは在宅医療の患者のうちどれくらいの割合でいるのでしょうか?

 私が所属する医療法人永生会クリニックグリーングラスは開業から1年間の新規患者数は900名ほどでした。そして開業から始めの1年間の看取り数は43名でした。割合でいうと5%未満になります。その5%の患者に恐れをなして在宅医療を始められない医療機関が多数あります。

 在宅医療の対象患者は一人で外来通院が出来ない方です。日頃家族や介護者の手伝いがなければ外来にいかれない方はすべて対象になります。上記の通り95%は末期がんやALSなどでは無い事になります。

 在宅医療は内科しかできない。在宅時医学総合診療料を算定しなければならない、必ず訪問診療をしなければならないと言った固定観念が邪魔をして開始できない医療機関が多数あるのです。

 在宅医療の限らず初めは易しい患者から、そして徐々にステップアップして行く方が合理的な考え方だと思いますが在宅医療の固定観念によって二の足をふんでいる医療機関が沢山あるというのが現実なのです。


【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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