在宅医療最前線11/17号【在宅たかせ塾】“いい日旅立ち”の条件

髙瀬 義昌(医療法人社団至髙会 理事長)

2021-11-17

 また在宅でのお看取りがありました。少し空気がひんやりと感じる秋晴れの朝、まさにいい日旅立ちです。朝起きて2口ほど食事をした後、眠るように呼吸が止まったとのこと。当院で訪問するようになってから約10年のお付き合い、少し寂しくもありますが、最期までご一緒できたことは私たちにとっては喜びでもあります。

 最期をどこで迎えるかという問題。看取り場所確保といった表現で在宅医療に期待されていますが、この問題はその亡くなる瞬間がどこであったかということではなく、そのための体制をどこで整えるかということであることは、みなさんご承知の通りでしょう。

 ご本人やご家族が自宅で最期を迎えたいといっても、それにはさまざまな条件があります。訪問看護師、ヘルパー、家族含め必要とされる介護に十分な人員を確保できる、自宅が療養や介護を行うのに適した環境がある、経済力がある、ご本人の病状や苦痛の度合い、そして何よりご家族の理解と覚悟が必要です。

 いくら準備をしていても、ご本人が衰えていく様子を見続けるのは辛いものです。また、その期間が長くなればなるほどご家族のストレスは大きくなります。肺炎を起こしてご本人が苦しがり、救急車を呼んで病院で最期を迎えるというケースもありますが、それもまた致し方のないことです。お看取りの瞬間はなかなか思い通りにはならないことを事前にお話しし、在宅看取りにこだわりすぎず少し余裕を残しておくのも、成功の条件といえると思います。


【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。

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