在宅医療最前線6/1チップ100万円

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2022-06-01

 看護師の1人が夕方、クリニックに戻りました。

看護師:「中村さん、ちょっと お話が・・・」
中 村:「どうしたの?」
看護師:「○○さんの おじいちゃんからチップを頂きました。」
中 村:「へ~  いくら?」
看護師:「100万円です。」

見せてもらうと帯付きの100万円です。
中 村:「ちょっと、チップの金額では無いね。」
500円とか1000円とは訳が違います。
100万円??? 
中 村:「何でその場で断らなかったの?」
看護師:「断りましたよ。 無理やり 持たされました。」「怒るし」
「良い看護師で良かった・・・」こっそり貰ってたら どうなるのでしょう。

お返ししなければ なりませんが、
看護師:「角がたたないように こっそり 家族に返しましょうか?」
中 村:「家族が本人に言わないと 後で返してもらってないとか 言われるよ」
看護師:「じゃ本人に返しましょうか?」
中 村:「ボケてたら、返したのに 返してもらってないって言われない?」
看護師:「・・・・」
という事でご家族にすぐに電話をして事情を説明して
クリニックに来て頂き、覚書に署名捺印をしてお金をお返ししました。
お金に限らず老人にとっての貢ぎ物は重要だと思っている方が一定数存在します。
病院などでは受け取りを禁止しています。在宅医療の現場では微妙ではあります。
原則貰わないのですがちょっとしたおこづかい程度、お菓子など、
また自宅で作った作物など頂いて帰る事で人間関係の構築にもなります。

 とにかく何かを看護師に受け取って欲しいと思う お年寄りは沢山います。
家に貼ってある絵とか小さなオブジェとか貴金属類とか必ず帰りにスタッフに渡すお年寄りが居ました。
なんでも渡してしまうのです。(認知症の方に良くある行動です)

 こちらの家族とも協議した結果
家 族:「一度貰った振りをして下さい。 玄関に箱を用意しますので、その箱に入れておいて下さい」
    「後で元の場所に戻しておきますから」
自分をお世話してくれている感謝の気持ちの表れなのでしょうね。
オレオレ詐欺やお年寄りを狙った詐欺契約みたいのが後を絶たないのが解ります。
優しくされると、何かお礼をしたくなるのですね。


【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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