コロナ「第7波」は、終わる気配がありませんね。みなさんの現場でも厳しい状況が続いていることと拝察します。私の患者さんもいままでになく多くの感染があり、搬送先なく自宅や施設で療養し、コロナ重症化だけでなく持病の増悪により全身状態が悪化するケースが増えています。在宅医としてどこまでできるのか、正念場です。
今回は、第4回在宅医療連合学会で印象に残ったお話をしたいと思います。いろは在宅ケアクリニックの土屋邦洋先生の「在宅での尿道カテーテル抜去の試み」と題したお話しです。さまざまな理由で尿道カテーテルを使用する患者は多いのですが、その必要性の評価がなされずに使われ続けることがあることは私自身も経験するところです。尿道カテーテルは本人にとってストレスであるだけでなく、感染リスクやせん妄のリスクであることはよく知られているものの、一度導入された後に抜去を試すということは、なかなか勇気と根気がいるものです。それを多職種を巻き込み、本人、家族に十分な説明をして実践している土屋先生のお話しを拝聴し、ぜひ当院でも取り組みたいと感じた次第です。失敗の可能性を許容し、合意をした上で方向性を統一して行う試みは、異なる組織体に属するスタッフの集合体である地域ではなかなか困難ですが、これができなければ、地域包括ケアは仕上がらないとも思います。8月22日からオンデマンド配信も始まります。ぜひ聴講されることをお勧めします。

【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。