やらないで後悔するか、やって後悔するか。前者のやらないで後悔する事を非行為後悔というそうです。逆に後者のやって後悔することを行為後悔というとの事です。さて、医療においてそんな状況はあるのでしょうか?
もちろん患者さんにとってはやるか、やらないかという選択は一生の問題です。患者にとってはやらないで後悔するホ非行為後悔は後に尾を引きやすい状況になります。あの時にあの治療をしていたらどんな結果になったのだろう、別の結果を想像して後悔という事につながります。
一方医療従事者ですが最近は訴訟などのリスクが大きくやらないという選択を取る医師も増えています。いわゆる萎縮医療という事です。少ない可能性で助かるかもしれないが、リスクの高い手術をやってしまって結果訴訟となってしまうという事もあります。
一般的にはやらないで後悔するという事の方が圧倒的に多いです。年をとってからあの時やっておけばと思う事は沢山ありますが若い時には時間の制約、お金の制約によってやりたくてもやれなかったという事の方がおおいかもしれません。人間の特性としてやってしまった事への後悔とやらなかった事の後悔、どちらにしても後悔をするという構造にあるようです。どちらも後悔するのであればより後悔の度合いが少ない方を選択したいものです。おそらくどちらにしても後悔するという点で大きく影響を与える点はお金が起因する事が多いかと思います。
たとえば、
「車を購入時にオプションを付けるか付けないか」と迷ったときお金の計算をして買うのをあきらめた時、無理やりオプションを付けて毎月月の支払いが高くなってしまった。
「海外旅行で記念に買いたいと思った特別な商品」買わなかった後悔と買った後悔。
「好きだった女の子に告白するか」告白する後悔としなかった時の後悔。
「進学をするかしないか」
「他人の意見にながされてやりたいことを諦めてとしあえず就職をした」
「犯罪とわかっていながらやめられなかった」
など、それぞれ人生において分岐点は沢山あります。
一般的にやった後悔は忘れられる、やらなかった後悔はより後悔が増幅すると言われています。どちらの選択が正しかったか正しくなかったか本当の答えはだれにもわかりません。昔から後悔先に立たずとは良く言ったものです。
周りから客観的に見たときにつねに2択を失敗する人がいます。そして後悔している人がいます。そういう人の特徴ですが必ずと言っていいほどやらない理由をつけます。物事を後回しにします。そして誰かのせいにして人を恨みます。いつまでも不平不満を人に話します。そして何かの依存症になっている人がいます。結局は自分の心との闘いです。
こういう方々ですが周囲からはアドバイスをされているのですが、そのアドバイスは本人にとっては煩わしいとしか思っていません。周囲は必死に良かれと思ってアドバイスします。その結果逆恨みをされます。また持って生まれたその人の性格ですから治るものではありません。この文章を読んで誰かの顔が浮かぶかもしれません。長い人生です。後悔は誰にでもあります。人生の航海を楽しんでいきましょう。

【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。