連日災害級の暑さと言われていますね。各地で大雨の被害も出ているようで心配です。私のクリニックのあるエリアでも、コロナとインフルと熱中症でまたも救急車が逼迫しているようです。長い夏の始まりです。
先日、10年ほど前に当院を卒業し、開業されたドクターとお会いする機会がありました。在宅医療のことをまったく知らずに当院に入職し、在宅医療をいちから学んで巣立っていき、いまでは地域で多くの患者さんとドクター、スタッフを抱えて活躍しています。当院で働いていた当時の熱心でさわやかな印象そのまま、生き生きと日常を語る姿に、愚直に在宅医療に取り組んでいる姿が目に浮かび、とても嬉しく幸せな気持ちになりました。
どこのクリニックでもドクターやその他スタッフの採用と育成にはさまざまな課題を抱えているのではないでしょうか。当院もご多分に漏れずさまざまな失敗や窮地を経験し、それでもコアとなるスタッフのもと、何とか組織化し運営できているのはありがたい限りです。
ドクターもスタッフも志も違えば、期待するもの違う。またそれは時間の経過とともに変化するもの。そして何より時代も変わりました。こういう人がほしい!と考え採用し、こんなふうになってほしいと力を注ぎますが、それ自体が窮屈に感じられてしまうこともあるようです。
今後は型にはめて考えるのではなく、理念と方向性だけ示しつつ、多様な考えや働き方を受け入れられるような柔軟な組織運営が求められているのかと思ったりもします。みなさんはいかがでしょうか。

【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。