在宅医療最前線9/6男は失敗を認めない

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2023-09-06

 幼少期にお母さんから「男は泣いたらいかん」「男だから我慢しなさい」こんなことを経験した事がある男性は少なく無いかもしれません。人間形成の幼少時代に言われた事が脳の中に染み込んでいます。そのために弱みを見せてはいけないというものがどこかにあるのかもしれません。もしかすると動物が生きていく上での防衛本能なのかもしれません。

 男性の特徴として感情の語源化がへたくそ、弱みを見せたくない、自身のケアに対する意識が低いなどという点があるようです。会社や国という大きな組織の中では明らかに失敗というようなケースでも失敗と認めずに成功の定義を変更する事で正当化する事もあります。失敗を取り戻して勝者となろうとする性質があります。トップがこの状況になりますと部下は何を言っても無駄だという空気になりそのチーム全体の自制心が壊れ暴走してしまう事もあります。自動車会社のリコール隠しなど組織的な隠ぺい体質に陥るのもこういう現象かもしれません。隠ぺいする事で更に被害を広げ、組織の存続にまで関わる事もあります。

 「始めてしまったのだから最後まで諦めない」「無駄でもやるぞ」「だまって従え」「うまくいくはずだ」などと言っていますが従業員は「はい、そうですね」と言いながらも心の中では「うまく行くはずがない」「絶対に失敗するぞ」と思っているケースが多いものです。こういうケースでは上司は周囲に一生懸命に自分の正当性をアピールしますが、周囲にはそれを正そうという人は誰も居ない状況になります。周囲から人が次々に去っていったり、集団退職をしたり、離反者が増えるのですが、リーダーが本来やるべく事業については手を付ける事は無く、去って行った人たちの悪口であったり批判であったりと失敗の原因があたかも去って行った人物のせいのように残った人材や関係各所へと言って周り、自分の正当性の周知に奔走したりします。

 よく考えたら本当は自分が悪いのに自尊心を守りたいがために他人のせいにするという方が多いのではないでしょうか?ほとんどの方が多かれ少なかれこういった行動に出るものです。他者からこういった状況により協力を得られなくなったり、信用を失ったりというケースは往々にして起こります。間違った選択をした時に過ちを素直に認める人はそこで成長が有るとともに周囲からも認めてもらえたり、許されたりという事になります。過ちを認めない人の方が多いのですが都合の良い理由を付けて自尊心を守ろうとします。プライドが高い人や自分を大きく見せたい人、過去に大きな栄光がある人は失敗を認める事が出来ない事が多いようです。

 プライドを捨てて過ちを認める事で失敗から学びを得ることが出来ますがそのチャンスを失っている人が多いです。このような事態に陥りやすい人物とは俗にいうエリートと呼ばれる人種や職種に多く見られます。政治家や官僚、企業のエリートです。医師という職業もその1つでしょう。
 
 失敗を認められないという性格の医師が存在します。雇われ医師であれば医療法人の中で是正される事もあります。特に自信の無い医師ほどプライドが高く、失敗を認めずに激高したりします。チームから信頼の厚い医師は患者、家族、スタッフの意見を聞いて正しい方向を導きだしますが、間違った選択をする医師は皆の話を聞きません。

 在宅医療の場合0か100かという選択は無く患者の年齢や家庭環境、経済状況など聞いて、色々な状況によりベストではなくベターを選択する事になります。現場だけをしている医師の場合は組織の中で淘汰される事はあります。しかし開業医のように現場の医者であり、経営者でもあるというケースでは法人全体で間違った方向を導き出してしまうケースもあり、組織で隠ぺい体質に陥ってしまうケースもあるかもしれません。

このコラムを書きながら自分自身にも思い当たるところがあります。気を付けなければと思いながら書いてみました。
 
 そういえば娘が小学生の時の夏休みの宿題で標語を作るという宿題がありました。娘が作った標語は「ごめんなさい、言えたらみんなお友達」という作品です。
ロシアとウクライナの戦争も早く終わってほしいなぁ~



【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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