ロシアのプーチン政権ですがここまで功を奏してきた独裁政治にほころびが出てきたようです。過去の独裁体制(権威主義体制)の崩壊理由の第1位はクーデターによるものでした。国内の内乱により戦争が終結するという結果が多くみられます。チェコやルーマニアは独裁国家から民主主義に移行してわずか30年で豊かになったそうです。
医療機関も医師という職業を頂点にしたピラミッド構造の中、独裁主義体制で運営されている医療機関がけして少なくは無いと思われます。コンプライアンスや道徳という点で正義を貫いている医療機関の独裁は失敗する事は有りませんが、不正請求が横行している、ブラック企業のような医療機関、などは内部告発や職員による事件などで一気に崩壊する医療機関があります。
ロシアがウクライナへ侵攻した理由はウクライナから虐待を受けるロシア人の人権を守るという動議の基に戦争が始まったとしますが、ブルコジン氏の反乱によりこれが嘘だという事で戦争の大義が無くなってしまったと言われています。
医療機関という性質は患者の病気を治す、療養生活を良くするなど患者の為にという大義の基に集まった人たちの集まりです。その為、不正が横行している医療機関では職員より本来医療機関が持たなければならないという大義が失われてしまっていると言うことになります。そういった医療機関では職員が次々と退職します。ロシアの国民がどんどん海外に流出したり、軍人が敵前逃亡したりするのも同じです。
どこの医療機関でも職員は足りない状況です。医療機関の職員は簡単にやめる事ができ、簡単に次の就職先が見つかります。ただでさえ引き手の多い医療、介護の世界において退職に関するハードルは全く高く有りせん。日本には大小の病院、診療所は約11万軒あります。いつでも就職する事ができます。
本来民間の医療機関というのは独裁なのかもしれません。正しい事をリーダーシップを取って舵取りができる独裁であれば誰でもついて行きます。賛同が得られればそれは独裁ではありません。賛同が得られない内容を恐怖政治によって誘導したり、明らかに違法な事を口封じしたりというような所は必ず綻びが出ます。現在ではジャニーズ事務所やビッグモータースのような所のようにその綻びが解けた時には一気に崩壊に向かいます。
独裁は物事がうまく行っている時には問題がありません。意思決定の速さが最大のメリットでもあります。そして最大のデメリットとは独裁者がダメになった時の影響が大きすぎるという弱点があります。
独裁していても授業員などの不満が少ないところは表には出にくいようですが、不満の多い職場では内部告発が起きやすいという事になります。表に出ないで不満というマグマが内部に溜まった時に一気に爆発します。上手にガス抜きをしている所もあります。内部のガス抜きをすればコンプライアンスを守らなくて良いのかという事ではありません。正しい独裁は従業員にとって居心地が良く、守られているという事になります。どこに就職するか見極めるのは難しいかもしれませんが、火の無い所に煙は立たないとも言います。上手に情報を取って就職活動を行ってください。

【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。