在宅医療最前線2/7往診の適正化”だけではなくコストの議論も②

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2024-02-07

 前回、往診料の適正化の議論がなされているという記事を書きました。今回も往診の現状を書きたいと思います。私のいる医療法人の在宅医療ですが在宅を担っている医師は全員が雇われ医師です。開業医ではありません。ここで従事する医師ですが本音から言うと誰一人として往診に行きたいと思っている医師はいないです。むしろ行きたくないと思っている医師がほとんどです。

 医師が在宅の患者さんのご家族や老人施設からの往診の依頼に対して、このケースは往診をする必要は無いのではと思うようなケースも多々あります。しかしながら往診の要求に対し不要だと思ってもいかなければ契約を打ち切られてしまうというような現実があります。老人施設は家族に対してアリバイ作り的に医師に診てもらいたいという思いもあります。一方で支払い側からは不適切な往診というとらえ方もあるようです。ここで医師は施設や患者家族から往診をして欲しいという要望と支払い側の言う不適切事例という二つの意見の狭間に立っています。

 近年、専門医による往診の需要は高まっています。厚生労働省の誘導もあり地域の専門医の方が少しずつ往診に出てくれるようになってきました。ただし地域の専門医の方は休診日の日にまとめてしか往診に出る事は出来ません。緊急的に往診するというよりも依頼に応じて休診日にまとめて効率良く訪問するというのは自然な出来事だと思います。

 医療法人等に雇用されている医師であっても毎週水曜日しか専門医が居ないというところも普通の事ですが、支払い側のご意見として、これは予定訪問の為、往診でなく訪問診療であるという認識をするようです。その後も同じ曜日に訪問する訳ですから一見定期訪問のように見えるのも理解できますが、医療機関の事情をみればその日に往診が集中するのは普通の事だと思います。これを定期訪問として訪問診療とするのであれば、二つ目の診療所や専門医も在宅時医学総合管理料や施設入居時等医学総合管理料、寝たきり患者処置指導管理料を算定できる事が必要と感じます。

 そもそも往診で行った医師が1つ目の内科が既に管理料を算定している為、算定ができないとなると材料費はどこから捻出する事になるのでしょうか?特別養護老人ホーム、老人保健施設、小規模多機能、看護小規模多機能などでは管理料も訪問診療も算定不可であり、専門医による往診だけが認められていました。こういった施設に対して決まった曜日に地域の専門医が往診できなくなると、施設職員が寝たきり患者を連れて外来受診をするという以前の体制に戻ってしまいます。
2024年の診療報酬が適正に改定される事を願っています。


【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。

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