過ごしやすい季節ですね。だんだん気温が上がり、脱水、熱中症も心配になる気候になってきました。高齢者の水分管理は難しく、認知症となればなおさらです。
介護施設での身体拘束は原則禁止ということはよく知られていると思います。とはいえ、施設に訪問するとこれは身体拘束にあたってしまうのではないかと思われるケースに出会うことがあります。身体拘束は「緊急やむを得ない場合」を除いて禁止、やむを得ない場合とは、「切迫性」「非代替性」「一時性」という3要件すべてを満たす必要があり、その判断は施設全体で行うこと、内容や方法、期間などをご本人、ご家族に十分に説明し、理解を求めること、毎日記録をすることが必要とされています。
ご本人の安全のため、介護者の負担軽減のためなど身体拘束を行う現場の事情は理解できますが、もし発見したら、適切に手続きが取られているかを確認する必要があります。3要件を満たしていない、もしくは満たしていても手続きが取られていない身体拘束は虐待にあたり、発見者は通報の義務があります。もちろん現場を断罪することを主眼に置くのではなく、現場で起きていることを理解し、ともに解決するという姿勢を忘れずに対応したいですね。
【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。