梅雨がきません。。。在宅医療にとって雨の季節はつらいのですが、ここまで降らないのも少々心配です。警報級の大雨と猛暑が待っているという予測もあり、熱中症予防の啓発も進めています。当院はといえば、遅ればせながらデータ提出加算の届け出に向けて準備を始めました。院内の体制づくりをしなければならず、頭を悩ませています。
さて、本題に入ります。前回、骨粗鬆症治療における病診連携についてお話をしました。今回は、循環器疾患における病診連携についてお話をしたいと思います。東京都区南部医療圏では、「ハートノート」®を展開しています。心不全と診断され、病院で加療いただいた後、患者は「ハートノート」®を渡されます。ハートノートには、体重、脈拍、その他自覚症状などが記載できるようになっており、患者が自身で記録すると点数化し、心不全の悪化の兆候の確認ができます。当院で診療の都度確認し、必要に応じて病院受診の勧奨をします。患者と病院、クリニックの連絡ツールとしても役立っており、患者や家族が病態を自覚できるという点でもたいへん意義のある取り組みと感じています。
連携のためのツールはさまざまありますが、新しいものを運用し続けることはなかなか困難なことが多いですね。まずは、関係各者がそのメリットを感じるまで継続する意志が重要で、その後は自然に育っていく、それをひたすら待ち続ける、その繰り返しでしょうか。
【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。