禊とは身を清めるという意味だそうです。そして禊とは水に流すという意味もあります。古来から日本では水には浄化作用があると言われてきました。真冬に氷水を浴びたり、滝行をしたり、寒中水泳をしたり冷水を浴びて身体を清めるという事だそうです。何か悪い事をした時にその悪行を免責にしてもらおうという期間の事も禊と言うかもしれません。よく政治家や芸能人などが問題を起こしたときに議員を辞職したり芸能人であれば一定期間の謹慎をしてしばらくすると禊を終えたという事で復活する事があります。
良く似た言葉としてお祓い(おはらい)という行事もありますがこちらは自分が行った悪行では無く自分に降りかかる災難を振りほどくという事ですが神社などでは6月30日と12月31日に祓いを行うそうです。という事で年に2階、半年に一度お祓いをする事になります。禊の期間というには特に決まっている訳ではありません。政治家、芸能人もひとそれぞれその期間やタイミングはバラバラです。
在宅医療においても禊の期間というのが有るようです。
例えばブラックリストの患者、クレーマーなど精神的にも肉体的にもとてもハードでストレスが大きい問題の大きい患者やその家族、いわゆるモンスターペイシェントなどに対して入院のタイミングで退院しても受け取らないというような事を医療機関が行うとその患者に関わっていた、ケアマネージャーさんや訪問看護ステーションの看護師さんからは医療機関が逃げたという烙印をおされます。ともに共通の敵と戦っていたのに他の関わっていた人たちを残して医療機関だけが抜けてしまうような事が起こると同志からの裏切り者というレッテルが取り憑かれてしまいます。
そうなるとそこに関わったケアマネージャーや訪問看護ステーションからは新規患者の依頼が来なくなります。これまでの経験上ですがその禊の期間は半年または1年という事が多くどうやら神社などのお祓い期間と同じ期間だなと思った次第です。医療機関の断り方は患者がいっぱいで受け取れませんなどという所が多いようですが関わった人たちからはそんな見え透いた嘘はすぐにばれてしまいます。このような相談も実は多く、色々な医療機関から連絡を頂いてます。やはり在宅医療はチーム医療なんだなと感じるものでお互いの信頼関係なくして成り立たないという事が判ります。いろいろ先生方も大変だと思いますが一度乗りかかった船には最後まで乗った方が良いということだと思います。
【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加
年間100本ほどの講演を行っている。