在宅医療最前線8/22BPSDに対する薬物療法

髙瀬 義昌(医療法人社団至髙会 理事長)

2024-08-22

暑いですね・・・。経験にないほどの暑さが続いています。新型コロナ感染症は少し減ったように思いますが、熱発の連絡は多く、往診続きの毎日です。

 在宅医療で避けては通れないのが、認知症ですが、その中でも行動心理症状(BPSD)にお悩みの先生方は多いのでしょうか。とくに暴言・暴力などは介護家族や施設スタッフに危険が及ぶ事態となったり、疲弊を招いたりと大きな負担となってしまいます。それらの患者に対し、向精神薬等での対応が必要となることがありますが、効果も副作用も個人差が大きく、なかなか一筋縄ではいきません。

 まず、指針となるのは、「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)」です。非薬物療法を最優先することはもちろんですが、幻覚・妄想や不安や興奮などに対しては、抗精神病薬、抑うつに対して抗うつ薬などを使用するケースがありますが、適応外使用であり、十分な説明が必要です。レキサルティ® (一般名:ブレクスピプラゾール)が、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに効能追加申請をしたとのニュースがありますので、今後より使いやすくなるかもしれません。認知症の患者さんが少しでも笑顔で過ごせる時間が増えるよう、私も日々精進です。

「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000140619.pdf

【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、
2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や
東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、
在宅医療の発展に日々邁進している。

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