急に涼しくなり、少々戸惑っています。今後もう少し暑くなるという情報もありますが、空気が澄んで過ごしやすい陽気に向かうことは間違いなく、ありがたいような寂しいような。一方で、能登の水害など、なんとも痛ましい災害も起きており、やりきれない思いです。
9月24日、新しいニュースが発表されました。前回このコラムでもお話をした向精神病薬である「レキサルティ®(一般名:ブレクスピプラゾール)」が、国内初となる「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」の効能効果の承認を取得したようです。
今回の効能効果の承認取得の臨床上の意味合いについては、今後評価することとなると思いますが、少なくとも私はこれまでレキサルティは認知症の方に対して安全性高く使用できるという感触を得ています。セロトニンとドパミンの働きを調整するパーシャルアゴニストの作用を持つため、幻覚や妄想の症状の改善や、抑うつ症状の改善などが期待できます。経験上、少し鎮静効果が高い場合があり、量の調整などはこまめに行う必要があるかもしれません。知見を蓄積することで、在宅医療現場で使いやすいものとなっていくことを期待しています。
「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000140619.pdf
抗精神病薬「レキサルティ」 日本における効能追加の承認取得について
‐"アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、 過活動又は攻撃的言動"について、国内初となる適応症を取得‐(大塚製薬株式会社)
https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2024/20240924_2.html
【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。