寒い日が続いていますね。東北地方の大雪をニュースで拝見し、雪が降る地域の高齢者を支えるには、わたしたちが経験しているものとは異なるご苦労があるのだろうと想像しています。どうかご自愛ください。
さて、薬不足がますます深刻になっていますが、みなさんの現場ではいかがでしょうか。先日、抗菌薬や鎮咳薬等の安定供給に関する勉強会に参加する機会を得ました。それらは、感染症の動向によって消費量が大きく異なりますが、予測が困難です。そのため本来であれば備蓄をしたり、工場の生産ラインに余裕を持つなどの対策が必要なようですが、薬価がとても低く、それらを行うための投資ができない状態にあるという内容でした。抗菌薬に関していえば、過剰に使用してきた過去の歴史も現在の状況に影響をしているようです。
私たち現場では、例えば処方した薬の在庫がないとなれば、代替薬を使用するなどして対応している状況です。一方でそれらの薬の必要性についても再考するときがきていると感じました。症状に対して惰性で処方している薬がないとも言えません。風邪に抗生剤を出してほしいという患者は少なくなったとはいえ、薬を出さないことが患者との信頼関係に影響することもあります。よく言われてきたことではありますが、患者に対しても薬を適正に使用することを伝え、薬は貴重な資源であることを共通認識としていく必要があると改めて感じた次第です。

【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。