生物は不変的なものでなく長時間かけて変化して来ました。環境に適した生物だけが次世代に受け継がれます。生物だけではなく人は社会進化論として社会や文化が生物の進化と同様に段階的に発展するという考え方もあるそうです。
進化論には誤解もあります。「進化=進歩」という考え方です。実際には環境の変化に対する適応であり進歩では有りません。環境の変化に対応した生物は生き残り、適応できなかった生物は絶滅しています。強いものが生き残るという訳では有りません。恐竜はとても強い生物でありましたが、環境の変化には対応できず絶滅してしまいました。その中でも環境の変化に対応できたトカゲなどは恐竜の生き残りとなっています。
企業も同じであり市場の変化に柔軟に対応できる企業は生き残り、対応出来なかった企業は淘汰されて行きます。医療も同様です。マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証や電子処方箋といった医療DXに対応できず閉院を決めた医療機関もあります。開業している医師が高齢であったり、システム導入に対する投資ができないなどの理由で自ら退場した医療機関もあります。これらは環境の変化に対応できなかったところとなります。
医療の世界は2年に1度診療報酬改定が行われます。介護保険については3年に1度改定します。この診療報酬及び介護報酬改定も社会環境の変化となります。2024年6月に診療報酬の改定がありました。在宅医療の世界でも大きな環境の変化がありました。患者数の多いメガ在宅医療診療所について、月の訪問診療の回数が700回(3カ月で2100回)を超える医療機関については、患者の比率で施設と個宅の割合が3割以上で有ること、介護度3以上+難病患者の数が5割以上などの条件を満たさなければ管理料の4割を減算するという改定が行われました。老人施設ばかりを専門にしていた医療機関にすれば大打撃です。
私からすれば国が決めた方針ですからその条件を満たした医療機関に変われば良いだけの事と思いますが、在宅医療の診療所の中には施設在宅から脱局できない診療所や病院を多数見ます。元々ここ数年の改定を見ていればこうなるであろうことは容易に想像出来ました。数年前からこの改定に対応できるような診療所作りをしてきましたので診療報酬改定の影響はほとんどありませんでした。
一方その体制を変える事無くひたすら老人施設だけを診る効率の良い在宅医療にどっぷりハマってしまった、医療機関はその環境の変化について行く事ができないようです。数千人単位で診療していたメガ在宅医療の診療所のこれまでの利益率は高かったことと思います。いくつもの店舗展開を行い恐竜のように肥大化していたかもしれません。こういう医療機関の未来ですが僕の頭の中では3通りの未来が見えます。
1つは恐竜のように絶滅してしまう医療機関。2つ目は恐竜からトカゲへと進化をして小さく生き残る医療機関、そして最後3つ目は老人施設の在宅医療を沢山抱えていても、居宅の割合は3割以上、介護度3以上と難病の患者の数は全体の5割以上という厳しい算定条件を見事にクリアしてさらなる発展が出来る医療機関となります。
それで今日のは謎かけです
進化論とかけまして
ポケモンとときます
そのこころは
フシギダネ!

【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加