在宅医療最前線6/25【最終回】在宅医療のこれまでと今後について

髙瀬 義昌(医療法人社団至髙会 理事長)

2025-06-25

 みなさんこんにちは。6月ですがあまり雨が降らずに急に暑さ襲来、なかなか厳しい季節です。コロナ感染者も少し増加傾向なのでしょうか。少し落ち着かない毎日を過ごしています。さて、突然ですが、たかせ塾は今回が最終回となります。そこで今回は、この20年を振り返り、また今後の20年を考えてみたいと思います。

 私は、2004年に大田区(東京都)に在宅医療を中心とするクリニックを開業しました。当時は在宅医療について医療者も含めまだまだ理解が進んでいなかったと感じます。医療介護者間のメンタル的な壁も今とは比べ物にならない状況で、当時はお互いに「言葉が通じない」と言われていたことを思い出します。嬉しいことや辛いこと、困難なことを共に経験しながら、地域でネットワークが作られ、より懐深い連携が可能となってきたのは言うまでもなく、地域包括ケアシステム完成の目途とされた、今年2025年に現在の形となったことは、一人一人の方と向き合い続けた地域のスタッフの努力の結晶といっても過言ではありません。

 全国での外来診療患者数は2025年にピークを迎えると見込まれています。一方在宅医療は、15年後の2040年以降と見込まれています。在宅医療に関わる私たちは今後も質を高めていく努力をしなければなりません。一方で、人材不足、在宅医療を担う医療者の負荷軽減などの問題とも戦っていく必要があり、それらは仕組みやテクノロジーでの解決が求められると拝察しています。

 私たちに多くの経験と学びをくださる患者さん一人一人に感謝しつつ、今後の在宅医療の在り方、在宅医とは何かについて考え続けたいと思っています。日本の在宅医療は世界の先進事例であり、誇るべき仕組みです。在宅医療に関わるすべてのみなさんの活躍と成長を祈りつつ、最終回とさせていただきます。2019年からの長きにわたってお付き合いいただきましたみなさま本当にありがとうございました。学会等でお目にかかる機会があると思います。そのときは、ぜひお声がけください。



【執筆者のご紹介】
髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。
麻酔科、小児科を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。
現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。

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