ずばり初めに書きますが「関係性のものさし」とはずばり距離感という事です。人と人との距離感って大事ですね。この距離感を間違うと痛い目に合います。初対面の人、友人、職場の上司と部下、お客様、患者さん、クライアントの会社の人、その他色々、この距離感を間違えないように意識する事もトラブルを避ける秘訣かもしれません。
一方で自分では距離感を意識しているつもりでも、そこには相手も存在します。自分の距離感と相手の距離感が一致していれば特に問題は有りません。しっかりと自分の距離感で相手と接していれば、ストレスなく居心地の良い時間となりますが、相手の距離感に合わせようとするとなんとなく違和感を感じます。
距離感が近すぎるとはどういう事でしょうか?具体的に言いますとマイペースでグイグイ来る人です。どうでしょう、これだけでもう疲れてしまう人って居ますよね。そしてそれをこちらにも強要してくるような方、こんな方と接すると、その後の疲れは半端ないです。
逆に距離感が遠い人はどうでしょうか?
こちらが親しみをもって、会話をしたとしても全くコミュニケーションを取らない、なんなら返事もしない、聞いているのか、聞いていないのか、良くわからない人。
さていかがでしょう、絶対に距離感は縮まらない人ですね。孤独を愛して、人を寄せ付けない人、こういう方って居ますでしょう!?ただ職場ではそういう訳にはいきません。特に在宅医療の現場ではチームワークが大切です。医師、看護師、PT、OT、ST、ケアマネージャー、薬剤師、事務員すべてとコミュニケーションが必要です。情報の共有という物が大事です。それぞれの職種が機能して初めて在宅医療が成り立ちます。距離感が遠い人は在宅医療には向いていません。では距離感が近い人は向いているのでしょうか?
患者さんやご家族はそこまで入り込まないで欲しいという人も居るでしょう。近すぎる事も問題となります。適度な距離感が必要なのです。在宅医療での経験は程よい距離感を形成していきます。きっとこの距離感を覚えた時に在宅医療のコツをつかんだ時となります。
このコツを掴むまでの間はコミュニケーションに自信を持てなかったり、不安であったりするものです。しかしながらいつまで経ってもこの距離感を掴めない人がいます。もしかすると、こういう方は在宅医療には向いていないかもしれないです。
毎日を不安で過ごしていたり、相手に不快な思いをさせていたりという事がずっと続きます。良好な距離感とは「互いに理解することが出来る」「共有できる話題がある」「気持ちよく過ごせる」という事です。もう一度書きますが距離感が近すぎると不快になり、距離感が遠すぎるとコミュニケーションが取れないという事です。
距離感が判らない人とは、相手の気持ちを理解できない人だと思います。
さてこの距離感はいつも同じとは限りません。患者さんのその日の体調により距離感が変わる事があります。近すぎてもダメ、遠すぎてもダメその中間点に幅があれば状況に応じて距離感を変える事ができます。この距離感の幅が柔軟な人は在宅医療においてエキスパートだと言えます。自分でコントロールして丁度良い距離感を保てる人材は在宅医療に限らずどんな職場でも成功するのでは無いでしょうか。
それでは今回もなぞかけで終わります。
距離感とかけまして
やじろべいとときます
その心は
バランスが大切です。

【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加