報復合戦とは「やられたらやり返す」ひとつにこれはプライドによって権威、威厳を見せつけるために報復合戦を行うという点があります。国であれば国民に対して、会社であれば従業員に対してのアピール的な行為なのかもしれません。
やられたらやり返すという構図はどちらにとっても不利益であるのにこれを行う事はその後の関係づくりに良い方向に向かうという歴史的な経験があるそうです。やられたのにやり返さないという関係は将来において従属的な関係性を作ってしまい、良好な関係を作れないという歴史があり特に国と国との関係においては有効な事例があるからなのでしょう。
しかし人間関係においては有効なのでしょうか?おそらく男女間においては全く無意味な事かもしれません。男女間において「やられたからやり返す」という戦略の果ては終縁を迎える事になるでしょう。初めは「振り向かせたくて嫌がる事をする」という事が始まりかもしれません。これは北朝鮮が良くやる方法です。どこの国からも相手にされなくなると構って欲しくてミサイルを発射します。もっとも最近は構って欲しいというよりは戦時国への武器輸出の為のデモになっている部分もあります。結果は自分の想いとは全く逆方向に向かっていきます。
おそらくここに国と国とのパワーバランスが働くのかもしれません。同等の力があるのであれば「やられたらやり返す」の決着は終焉では無く、ある程度のバランスのとれた力関係で終わり、その後の関係性は決められたルールの中で発展という方向に変わる事もあります。これが過去の歴史のようです。ただし前述しましたが力の差が大きい場合は全くこの戦略は無意味となるようです。
さてこの戦略がどのようなケースで有効かというと相手との関係が長期にわたる場合が前提となるようです。国対国という歴史上非常に長期に渡り関係性を構築しなければならない場合には有効だそうですが、短期的な関係では有効では無いと言う結果が出ているそうです。僕は短期的にも弱い相手に対して結果を出すと思っています。事実アメリカはわずか3カ月でパナマ運河を取り返す事に成功しています。
ちょっと簡単にこのパナマ運河について脱線しますが、パナマ運河は元々アメリカが作りパナマに運営を移管したという経緯が有りました。しかしいつの間にかパナマ運河の管理は民間に移譲され香港の企業が運営管理を行うようになりアメリカの航行に非常に高い通行料を化すようになりました。元々アメリカが作ったのにです。アメリカは関税による脅しによってわずか3カ月で香港の会社からアメリカの会社へ移管されました。これによって有事に際(戦争)などが起きた場合はアメリカの軍艦が最優先に航行が出来、その航行に関する費用は無料になったそうです。2024年12月に発表から2025年3月末という非常に短期間で移管されました。
すみません、脱線しました。
先ほど人間関係においては報復合戦の行方は終縁を向かると書きました。しかし有効な事例もあります。
「協力すれば協力する」「非協力ならばこちらも非協力とする」という事を見せていく事で距離感を作る事はできるようです。これはあくまでビジネス間の事であり友人関係、男女関係では全く意味を持たないようです。友人関係、男女間では損得勘定よりもプライドが勝ってしまい、我慢をするという事にはなりません。最近の離婚率の高止まりはそういう事なのかもしれませんね。
それでは今月の謎かけです
「報復」とかけまして
神様ありがとうございましたと
ときます
その心は
お礼参りです。

【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加