在宅医療最前線5/6家族ごっこは甘やかし

中村 哲生(医療法人永生会 特別顧問)

2026-05-06

 「社員は家族だ!!」という事を言う上司って結構多いですね。昔の企業の社長は良くこの言葉を使っていました。「社員は家族だ!!」とう言葉を使っている人は組織の一体感を作りたいという意図で使うそうですが、実は言われた側の人は「多少の我儘は許される」「うまく出来なくても見守ってくれる」「最後のひと頑張りをサボっても良い」かもという感情が生まれます。

 また社長や上司は家族なのだから自己犠牲はやむなしという事でサービス残業などは当然と思っている経営陣もあるかもしれません。確かに昭和の時代は「24時間戦えますか」という事で企業戦士たるもの自己犠牲は当たり前の状況でした。現在社会においてはブラック企業と呼ばれます。(もっとも在宅医療の現場は24時間365日戦っているのですが)

 「家族のような」という関係性は不平等が生まれやすい環境になります。お互いにとって曖昧な位置づけとなってしまいます。それぞれの解釈の仕方によってどうとでも取れるのです。日本と中国のような関係ですね。もっとも国家と国家の関係性においては抑止効果を狙って曖昧にするものです。この曖昧、柔軟性によって状況に応じて対応するという事もできます。

 一方この曖昧戦略はもろ刃の剣で誤解を招く事もあり、紛争を誘発する可能性もあります。はっきりさせない事で行動をコントロールしようという意図もありますが職場においての曖昧は抑止力を持つことはなく、お互いが都合よく解釈する原因となります。「社員は家族だ」は一見すると聞こえは良いですが自分にも、部下にも甘えを生じさせる魔法の言葉だそうです。

 職場における問題社員の場合はどうでしょうか?本当の家族なら見捨てないでしょう。しかし職場における問題社員が家族同様の扱いを受ける事ができるかというと、決してそんな事は有りません。職場と職員はギブアンドテイクです。お互いにメリットがあるからこそ繋がって居る事が可能なのです。

 実際に親離れ、子離れが出来ないような家族関係も困りますね。親離れができない子供の背景には過保護な育成による自立心の未発達という現象だそうです。心理的にも環境的にも子供が発達障害になる確率が上がります。職場においても上司が先回りして失敗しないようにしますと、自分で考えるという力が身につきません。むしろ放任主義の方が伸びる社員もいます。
お互いに依存しない関係づくりが大切ですね。

それでは今回の謎かけのお題は 「親離れ、子離れ」にしましょう。
「親離れ、子離れ」とかけまして さんまの塩焼きとときます
その心は・・・ そこに巣立ち(すだち)があるでしょう 
ではまた次回 宜しくお願い致します。


【執筆者のご紹介】
中村 哲生(なかむら てつお)
1965年生まれ
医療法人永生会 特別顧問
多くの医療機関の顧問を歴任
開業に関するコンサルは70ヶ所以上
在宅医療に関するDVD
著書「コップの中の医療村」
2017年APECに参加

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