財務省の財政制度等審議会は5月21日、今後の財政運営の方向についての基本的考え方を示す「我が国の財政運営の進むべき方向」(春の建議)を取りまとめ、財務大臣に提出した。社会保障のうち「介護」については、制度の見直しに向けて、①保険給付の効率的な提供、②保険給付範囲のあり方の見直し、③高齢化・人口減少下での負担の公平化――という3つの視点を打ち出した。①では、ICT機器の活用による人員配置の効率化や経営の協働化・大規模化の推進により生産性を向上させるべきとの方針を提示した。
また、高齢者向け施設・住まいにおけるサービス提供のあり方として、介護保険施設の指定を受けている特別養護老人ホーム等の役割分担・住み分けの検討にも踏み込んだ。自治体は「介護保険事業計画において、有料老人ホーム・サ高住も含めた高齢者向け住まいの整備計画も明確に位置付けるべき」としたほか、利用者の囲い込みや過剰サービスの是正の必要性も強調した。
そのほか、保険外サービスの柔軟な運用や人材紹介会社の規制強化、軽度者に対する生活援助サービスの地域支援事業への移行も進めるべきとした。
②では、居宅介護支援への利用者負担導入を盛り込んだ。③では、利用者負担(2割負担)の対象者の範囲拡大や、介護老人保健施設・介護医療院での多床室の室料負担の導入などを求めている。