公益財団法人介護労働安定センターは7月10日、2023年度の「介護労働実態調査」の結果を公表した。
1万8000の介護サービス事業所を対象とした「事業所における介護労働実態調査」では、事業所全体の従業員の過不足状況について、「大いに不足」(12・1%)、「不足」(21・9%)、「やや不足」(30・7%)と、合計して64・7%が不足感を抱いていることがわかった。「大いに不足」は前年度の9・2%から3ポイント近く上昇している。
訪問介護員、介護職員を合わせた2職種の採用率は16・9%。2012年度(23・2%)以来減少傾向にあったが、2021年度を底に2年連続で対前年度比増となった。一方、離職率は13・1%で、前年度の14・4%から減少した。離職率は2012年度(17・0%)以来減少傾向にあり、2022年度は一時的に微増となったものの、2023年度は再び前年度比減に転じた。
「離職率は低下(定着率は上昇)傾向にある」と回答した事業所にその理由を聞いたところ(複数回答)、最も多かったのは「職場の人間関係がよくなったため」(63・6%)で、続く「残業削減、有給休暇の取得促進、シフトの見直し等を進めたため」(45・6%)などに比べてかなり多かった。「従業員の採用がうまくいっている」理由についても(複数回答)、「職場の人間関係がよいこと」(62・7%)が最も多く、良好な人間関係が採用や定着の大きな要素となることが改めて浮き彫りになった。