東京商工リサーチは9月6日、2024年1〜8月「老人福祉・介護事業」の倒産調査の結果を発表した。「介護事業者」倒産は114件(前年同期比44・3%増)で、介護保険法施行以降、同期間最多であった2020年(85件)を大幅に上回った。
現状のペースでは年間170件超が見込まれ、年間最多の22年(143件)を大幅に更新する見込みとなっている。サービス別に見ると、24年度改定で基本報酬が下げられた「訪問介護」が55件(前年同期比25・0%増)、コスト増の負担が重い「通所・短期入所」が35件(同45・8%増)、競争が激しい「有料老人ホーム」が11件(同175・0%増)と、いずれも同期間で過去最多を記録した。
倒産の増加要因は複合的であり、倒産した114件のうち、「販売不振」(売上不振)が82件(構成比71・9%)と最多で、次いで、赤字累積の「既往のシワ寄せ」が11件(同9・6%)と業績悪化が8割超を占めた。倒産した114件の約9割(構成比87・7%)は個人企業ほかを含む資本金1000万円未満が占め、従業員10人未満も8割(同80・7%)と、事業規模の大半は小・零細事業者が占めていた。
一方で、負債総額は1億円以上が27件(前年同期比107・7%増)に倍増し、中小事業者の負債が膨らむ傾向にあるほか、中堅企業の倒産も散発している。人手不足やコロナ禍のダメージ蓄積、物価高などを受けて、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産増に歯止めがかかっていないのが実情だ。